アロマオイルの販売で気をつけるべき薬事法の注意点

アロマセラピストやアロマ関連のグッズを扱うショップオーナーは、販売促進のために宣伝活動を行います。しかし、表現方法によっては薬機法(旧薬事法)に違反する恐れがあるので注意が必要です。ここでは、薬機法に違反するとどうなるのか、また、違反しないためにはどのようなことに注意すべきかについて詳しくご紹介します。

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薬事法は医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器などの有効性や安全性を確保するために定められた法律で、2014年からは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という名称に変わり、薬機法と呼ばれています。

アロマは薬機法における化粧品や医薬品、医療機器などに含まれておらず、雑貨として分類されています。だからといって、薬機法の効力がアロマには届かないというわけではなく、アロマを医薬品や化粧品と思わせるような宣伝活動を行うと、薬機法違反になります。

また、アロマを配合した化粧品は、薬機法において化粧品に分類されます。違反対象として罰せられるのは、アロマ製品を直接的に販売する人だけではありません。SNSなどで宣伝するだけでも、処罰の対象となることがあります。

薬機法が定義している規制の対象は企業や販売主だけではなく、広告を掲載するメディアやインフルエンサー、アフィリエイターなど広範囲にわたります。企業案件だからといって喜んで宣伝していると、思わぬトラブルに巻き込まれることもあるので注意が必要です。

薬機法に違反すると、行政指導もしくは刑事罰が科されることになります。行政指導を受けると、違反を改善するための報告書を提出するのが一般的です。刑事罰においては、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金となります。

また、2021年からは違反をしていた期間中に売り上げが5000万円以上であった場合、売上金の4.5%が罰金額になると定められました。参考資料|薬事法ドットコム > 薬事法ドットコム

行政指導で改善しなかった場合、刑事罰が科されるのが通常の処罰方法ですが、中にはいきなり刑事罰が科されることもあります。

薬機法の罰則は年々厳罰化されているため、違反しないに越したことはありません。

薬機法で規制される表現は、アロマが「雑貨」と扱われるか「化粧品」と扱われるかで異なります。

・「雑貨」として扱われる場合アロマが「雑貨」として扱われる場合、使用用途として記載できるのは空間や水の香りづけのみとなり、体を香りづけたり、肌への効果があると記載することは禁じられています。また、「鼻づまりに効く」や「痛みを緩和する」など、医薬品のような効果があるように記載するのも厳禁です。

アロマ製品で使用されがちなアロマテラピーという表現ですが、テラピーは英語で「療法」という意味があるため、雑貨として扱われる場合に使用することはできません。テラピーという表現を使うには、「医薬品」として承認を受ける必要があります。

そのほか、リラックスという表現もアロマ製品でよく目にしますが、体内にアロマを取り込みリラックスできるという意味合いで使用すると規制対象となります。リラックスできる空気を作るなど、体への効果・効能を意図する表現でなければ使用できます。

・「化粧品」として扱われる場合アロマが「化粧品」として扱われる場合、体への香りづけや肌に使うことを記載することが可能です。ただし、効果・効能を記載すると処罰対象となる可能性が高く、「アロマで血行を促進」や「アロマで肌が蘇る」などと記載するのは避けるのが良いでしょう。

文字ではなく、ビフォーアフターの写真を載せてアロマの効果があるかのように見せるのも、処罰の対象になります。また、製造販売業者の名前・住所、商品の名称、製造番号、厚生労働大臣が指定する成分、使用期限については必ず記載しなければなりません。

アロマ製品を「雑貨」としてネットショップなどで販売する場合、特に認可は必要なく自由に輸入・販売することができます。しかし、「化粧品」として輸入・販売する場合は「製造販売業許可」が必要です。輸入後に包装や表示、保管なども行う場合は、さらに「製造業許可」が必要になります。

営業所ごとに申請して許可を取得しなければならないうえに、品質確認や管理、販売後の安全管理などのために薬剤師が常駐することも求められます。アロマオイルなどを小分けにして瓶などに詰めて販売する場合も、「雑貨」扱いであれば好きなように小分けにし、販売しても問題はありません。

しかし、「化粧品」扱いである場合は、許可を得ずに小分け販売することは禁じられています。特定の購入者向けに小分け販売をすることは一部認められてはいるものの、製造販売業者の名前・住所などの必須記載事項をボトルもしくは別途書類に記載する必要があります。

アロママッサージという表現は、薬機法においてはどのように判断されるのでしょうか。マッサージは医療目的・医療目的以外のどちらでも使用される表現であるため、判断が難しいところです。ただし、日本でマッサージ師と名乗ることができるのはあん摩師や鍼灸師などの国家資格保有者になります。

アロマセラピストの民間資格を取得してもマッサージ師はできないため、基本的にはマッサージという表現は避けるのが無難です。これは薬機法ではなく「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」で定められている事項になります。

アロマ製品を宣伝・販売するうえでは、景品表示法にも注意を払う必要があります。景品表示法は商品の品質や性能を誤認させるような宣伝をすることで、未承認の性能や効果を記載することは禁じられています。これは「雑貨」や「化粧品」などジャンルにこだわらず、全ての商品が規制対象となります。

違反すると措置命令が下されるほか、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科されます。違反期間中に150万円以上の利益を計上した場合は、利益の3%を課徴金として支払わねばなりません。

アロマ製品の販売をする際には、罰則を避けるためにも広告表現には細心の注意を払わないといけませんね。アロマの効果や効能を謳ったり、マッサージやセラピーという表現を使ったりなど、規制対象となることは避けるのが無難です。

規制をかいくぐった魅力的なアロマ製品のキャッチコピーを考案し、売上に繋げるようにしましょう。